2003年2月27日(木)17:39

フィッシャー外相はEU将来像会議に作業を急ぐよう勧告

ブリュッセル(AP)

ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相はEU改革会議(=将来像会議。訳注)に対して、時間的制約があろうとも6月までに欧州連合の憲法草案を発表するよう求めた。「われわれは決定的な分岐路に立っている」。「夏までに欧州憲法を提案するという自らの目標を達成せねばならないのだ」、とフィッシャー外相は木曜日、ブリュッセルで開かれた改革会議の討議の席で述べた。

改革会議の105名の代表は木曜日、EU憲法の最初の16条に関する初の協議を行った。原案は改革会議議長団の提案した草案であるが、この草案に対してはすでに1038件の修正意見が出されている。フィッシャー外相は、改革会議はテクニカルな細部にこだわってはならないと勧告した。「われわれが今後数週間、課せられた課題をどのように解決するか、その方法はこのプロジェクトの成否を決定することになろう。」

イラク危機に関するEU加盟国間の現在の意見の相違も障害にはならないであろうとフィッシャー外相は強調した。「決定的な前進を行うために利用できる限りは、危機は決して不都合なものではない。」「われわれヨーロッパ人は欧州連合として協調する場合に限り、21世紀の社会で地歩を築くチャンスがある」と外相は付け加えた。

改革会議では外交問題のほかにも、欧州のキリスト教の伝統について憲法で明言し、「神」について言及すべきか否かなどという問題について議論が行われている。ヴァレリー・ジスカールデスタン議長率いる議長団の草案では、キリスト教への言及はない。しかし数多くの修正意見では、キリスト教の伝統について触れるよう要求している。

ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、イタリア、ポーランドから選出された保守派の会議メンバーによる修正意見は、神は「真実、正義、善および美…の源泉である。この価値観なくしてヨーロッパの今の姿はない」と主張している。とりわけヴァチカンは神に言及するよう強く求めている。これに対し、社会党系のメンバーらは「国家と教会の分離の保証」を要求している。

加盟国および加盟候補国の政府、各国議会、欧州議会、および欧州委員会から選出された105名の代表は、6月末までにEU憲法草案を発表することになっている。その後草案は加盟国政府間の協議に委ねられ、最終的にEU首脳会議で憲法条文の決定の運びとなる。現在の計画では今年末までにこのプロセスが完了する予定である。

原題:Fischer mahnt EU-Konvent zur Eile




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